芸術家が集う街の小さなギャラリー。
地域と繋がりながら自己表現できる空間
豊島区長崎
オーナーは、東長崎でコーヒー店「MIA MIA」を営むご夫婦、アリソン・ヴォーンさんとアリソン・リエ さん。夫のヴォーンさんはメルボルンのシアターレストラン、妻のリエさんは宮崎県の居酒屋を営む家で生まれ育ち、夫婦そろって幼い頃からさまざまな人と関わり合いながら暮らしてきたのだとか。現在は、それぞれが仕事にしてきたコーヒーライターと建築・設計を掛け合わせて始めたコーヒー店の他、今回紹介するオフィス兼ギャラリー「I AM」の運営と建物自体の管理も行っています。
かつて「長崎アトリエ村」と呼ばれ、画家の方たちをはじめとした芸術家が多く住んでいた東長崎エリア。その静かな住宅街の中に、「壱番館」と書かれた小さなアパートが見えてきます。
建物自体はちょっぴりレトロですが、入口から見えるのは、こぢんまりとした可愛らしい畑と手作りのブックポスト、そして洗練された空間。
2階以上は住居、1階部分は今回ご紹介するシェアオフィス兼ギャラリー「I AM」として使われており、オーナーであるアリソン・リエさんが大家さんに代わって管理人をしています。
住居といってもただのアパートではなく、住民のやりたいことを一緒に叶えたり、地域の人と交流したりと、街にひらいたちょっと面白い場所なんです。外には、共用の小さな畑や自分の本と交換できるブックポストも。
この「I AM」ができたきっかけは、建築・設計を生業にするリエさんが「壱番館」の大家さんから空いている部屋のリノベーションの依頼を受けたこと。
コロナ禍で街全体にふさぎこんだ空気感があったなかで、「若い世代が働いている姿が見える方が、街もみんなも元気になりそうな気がする」と思い立ったリエさんが大家さんを説得し、自分自身が入居する代わりに1階をシェアオフィスにさせてもらうことにしたのだそう。
現在は、リエさん自身が代表を務める設計事務所「ara」と、グラフィックデザイン事務所、そしてファッションデザイナーの方の3組でシェアしています。
ということで、平日はシェアオフィスの「I AM」ですが、週末はリエさんと夫のヴォーンさんがセレクトした大好きなアーティストの作品の展示や販売を行うギャラリーに変身。
毎週金曜日になるたびに、オフィスからギャラリーにスイッチしているのです。ちなみに「I AM」という名前は、作品自体ではなく作家さんのキャラクターが伝わるような紹介をしたいという思いから。「I am…」と一人称で話し始めるようなイメージで、名付けられています。
それと同時に、希望に応じて出店や展示用に貸し出しも行っています。この場所を面白く使ってくれる方は歓迎だそう。
中はシンプルなグレーの壁で、こぢんまりとしていながらも開放感のある気持ちの良い空間。
ギャラリー内に置かれた什器たちは、ふたりが大好きなものばかり。中には目黒のデザインホテル「クラスカ」など、すでに閉館となってしまった場所にお願いをして、買い取ったものも。
作品をつるしてもよし、並べてもよし。工夫次第でいろんな使い方、見せ方ができそうです。家具をどう配置するかによっても、印象がガラリと変わりそう。
普段から、東長崎の街全体を盛りあげていくためにさまざまな取り組みをし、地域の人たちとの繋がりをとても大切にしているアリソン夫妻。そんな彼らのつくった場所だからこそ、ただ場所を借りるだけにとどまらず、「I AM」を起点にしてこの先の人生に繋がる大きな出会いを得られるかもしれません。
ローカルにとっぷり入り込みつつ、地域の面白い人たちと繋がりながらやってみたいことがあるという方には、もってこいの空間だと思います。
この場所を使って、全力でワクワクしながら楽しい企画を実現させてみては?
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txt: Aki Murayama
photo: Eichi Tano
INFORMATION
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