家だけど、家ではない。
8割を来る人のための空間に。
東京都新宿区新宿1
オーナーは、建築家の辻繁輝(つじ・しげき)さん。通称「つじぽよ。」さんです。
フリーランスを経て2021年7月末に法人化し、「株式会社 drop」を設立。リノベーション設計を手掛けています。現在は、自宅以外にもシェアできる貸別荘を北軽井沢で設計中。リノベーション情報を発信しているInstagramのアカウント「つじぽよ。|リノベしまくる東大卒建築家」が人気で、仕事依頼の多くがSNS経由だそう。
新宿御苑前から徒歩5分、新宿駅からも12分で徒歩圏内という、とても便利な立地に立つマンション。
その一室は、オーナーである辻さんのあだ名をもじって「ぽよはうす」と名付けられ、年間1000人以上が訪れています。
もともとは、友人を呼んで集える場所をつくりたいという思いから、辻さんが自身でリノベーション設計を手掛けた、自宅兼コミュニティスペースです。コンセプトは「来る人のための家」。
8割がみんなで使えるオープンスペース、2割が寝室を含めた自分の場所という、その圧倒的な割合からも、人が集うためにつくられた場所であることがわかります。
扉を開けて中に入ると、シックな隠れ家風の空間が広がります。
カウンターキッチンはバーカウンターのようになっており、靴を履いたままでOK。キッチンで食のイベントをやる際に、気軽にお酒を飲んだり、ご飯を食べたりできちゃいます。
玄関は黒の塗装の壁、リビングの壁はコンクリート打ちっぱなし、そして寝室の壁は木を使用。
それぞれの空間の雰囲気に合わせて壁の素材を変え、入口から奥の寝室にかけて明るく見えるように工夫されています。玄関からリビングにかけてピクチャーレールがついているので、ミニギャラリーとしても使えます。
この部屋でできそうなことを全て書き出し、いかにさまざまな要素を掛け合わせられるかを考えて設計された「ぽよはうす」。
リビングと寝室を含め、部屋全体は41㎡とかなりコンパクトながら、いろんなシーンや用途に対応できるように、“人思い”な工夫がぎゅっと詰め込まれています。
たとえば、キッチン部分の天井を下げて収納を増やしたり、HDMIとコンセントを付けてプロジェクターを使えるようにしていたり。
寝室の扉側には、スクリーンも付いているので、映像を流すことも可能。
ソファを置かずにあえてクッションにしているのも、収納できて、部屋の使い方を限定させないための配慮なんです。
マンション自体が事務所利用OKのため、オフィスとしても使えるような想定に。
リビングに机を置いて会議室にしたり、壁付けのデスクをワークカウンターにしたりすることもできます。
プライベートルームに繋がる扉は、鉄鋼屋さんでつくってもらった特注品。
「しっかりした良い空間に入るときには、扉は重い方がいい」という辻さんのこだわりが形になり、どっしりとした存在感があります。180度両開きが可能。
辻さん自身が、眠るときに「今日も頑張ったな」「良い一日だったな」と思えるように、この扉の重さに投資をしたと言います。
ここが全体の「2割」にあたる、わずかなプライベート空間……のはずですが、今は撮影用に開放。
カギや目隠し用のカーテンもあり、当初はプライベートを守る予定でしたが、「ここを使いたい」という要望が多くあったため、撮影OKにしてしまったとのこと。窓からやわらかな光が入るので、たしかに爽やかな画づくりにはぴったりです。
部屋自体はやはりコンパクトなので、大がかりなドラマの撮影などは難しそうですが、雑誌やCMのワンシーンに使うようなラフな撮影や、商品の物撮りなどにはぴったりだと思います。過去には、YouTubeの撮影が行われたこともあったそう。
「うちを使うことで商品やサービスがよりよく見えるのであれば、ぜひ使ってほしいなと思いますね。力になれればいいなと」と辻さん。
ひとりで占有するのではなく、常にシェア概念を持ってつくられたこの場は、家でありながら家ではない不思議な空間です。
ここまでご紹介してきた使い方は一例に過ぎず、アイデア次第でさまざまな要素を掛け合わせられる場所だと思います。
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txt: Aki Murayama
photo: Eichi Tano
INFORMATION
ムービー撮影 | 1h |
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16,500yen |
スチール撮影 | 1h |
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12,100 yen |
ワークショップ | 1h | 1day |
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ASK | ASK |
ワークショップや教室などに最適なプランです。
内容毎に利用可否をご連絡いたします。