築約100年の古民家を改修。
過去と未来をつなぐ文化発信拠点。
東京都中央区新富2-4-8
住宅や商業施設などの建築設計を主軸に、家具・グラフィックなど幅広い分野のデザインを手掛けるthe design labo。
お話を伺ったのは、the design labo 代表の板坂 諭さん。
近年では万博パビリオンの設計や、アート製作など、建築設計という枠組みを超えたクリエイティブなプロジェクトを手掛けているのだそう。
今回ご紹介するのはthe design laboのサテライトオフィス兼ギャラリーである「the design gallery」。
新富町駅前。
大通りに面し、ビルの谷間にひっそりと佇む3階建ての古民家。
普段は自社オフィスとして使いながらも、ギャラリー&マルチスペースとしても運営されています。
では早速見ていきましょう。
なんといっても特徴的なのはこの外観。
通り側は全面銅張りの外装に、将棋の駒のようなフォルムの屋根が特徴のこちらの建物。
なんと大正に建てられた100年以上前の建物で、かつて目前にあった劇場「新富座」の甘味処だったんだそう。
ちなみに新富町界隈はかつて外国人居留地があり、外国人が行き交い、和と洋が融合した独特の文化が生まれた街。
そんな背景もあり、よく見るとこの建物自体も和式と西洋式の建築様式が混ざった、歴史的にかなりレアな建築デザインなんだとか。
エントランス周りは、味のある杉板に無垢でシャープなスチールサッシュ、一枚岩の踏み石が置かれていたりと、元々の建物の歴史にリスペクトをはなりながらも、モダンなスタイルへとアップデートされています。
シンプルに、素敵です。
内部へ入りますと、落ち着いた色合いの土壁の空間に、ビンテージの家具や、アートピースのような照明器具が余白をもって配置されています。
奥へと進むと、そこには個室の高級飲食店のようなパントリールームが。
現状は会議室的な用途が主だそうですが、水回りも完備されているので、ちょっとした調理を伴うイベントなどにも使用できそうです。
エントランスのご紹介でも触れましたが、1階の内部空間には、踏み石やテーブルなど、要所要所で石が使われているのもポイント。
しかも採用されている石は、すべて国産なんだとか。
「日本のもの、特に石が好きですね。いまは海外からの輸入品のほうが安い時代で、国内の石採業はかなり厳しい状況です。
ここで使われている石もすべて、全国の石屋さんを巡って譲って頂いたデッドストック品です。価格競争で日本の良い素材が見過ごされることが多いですが、今になってようやく日本の素材の文化的な価値が認められつつあるので、そういった日本の高い能力や伝統を未来へ継承していければと考えています」と板坂さん。
中にはイサムノグチさんが作品づくりで使っていたものと同じ石「伊達冠石(ダテカンムリ石)」が使われていたりと、こだわりと本気度を感じますね。
2階へと上がると、こちらも土壁と木板で構成された落ち着きのある空間に、ビンテージの家具たちがポツンと鎮座。
窓際(通り側)には当時より設えられた壁面いっぱいの和ダンスが印象的な空間が。
こちらの和ダンスは、表面の色合いを整えつつ、当時のものをそのまま使っているだとか。
写真では暗く見えますが、実際にはそこまで暗いとは感じず、むしろ光と影の陰影が印象的で、時間の経過を忘れてしまいそうになるほど落ち着ける空間です。
こちらは普段は会議などで使われているそうですが、展示空間やワークショップなどにも利用できそうです。
ちなみに写真にある家具は、期間限定の展示会で使用した作品も混ざっているとのことで、写真の内容から変更になる可能性があるそうです。とわいえ、ご覧頂いた通り、かなりこだわりのある空間ですので、家具が変わったとしても空間のユニークさは不変。むしろ「どんな家具に変わっているのだろう」と楽しみにしていただければと。
3階には、特徴的な屋根の形がそのままむき出しになった空間が。
「屋根の形状がこの建物の特徴であり、歴史的にも価値がある部分ですので、3階のこの空間はぜひ見ていただき、面白く使ってもらいたいですね。」と板坂さん。
そこまで広い空間ではないですが、とてもユニークな空間なので、作品の展示や、展示会の際の商談スペースなど、アイディア次第でいろいろな使い方ができそうです。
「文化的な価値を理解してくれる人につかってほしいですね」と板坂さん。
子供時代は、母親方の実家が茅葺屋根の建物で、囲炉裏を家族で囲む暮らしだったという板坂さん。
その後、その建物が建て壊され、ハウスメーカー仕様の「普通の」建物になってしまったときに感じた違和感を原体験に、中学生の頃にはすでに建築の道を歩むことを決めていたという板坂さん。
古き良き文化や歴史に敬意を払いながらも、現代人の感覚に合わせてアップデート、そして未来へと継承していく。
板坂さんらしい、素晴らしいコンセプト・取組みですね。
いかがでしたでしょうか。
築100年の古民家を改修した、過去と未来をつなぐ文化発信拠点。
ブランドのシーズナルのコレクション、アートギャラリーのような使い方はぴったりな空間かと。
ちょっと敷居が高めに感じられるかもしれませんが、内容は柔軟に対応可能ですので、お気軽にお問い合わせを。
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Photo by Ikunori Yamamoto
INFORMATION
撮影利用 | 1 hour(平日) | 1 hour(土日祝) |
---|---|---|
15,500 yen | 17,700 yen |
・最低利用時間:3h
・事前相談の上、早朝7時~夜21時まで上記金額の20%増しで対応可能
・ゴミは全てお持ち帰りください。
・ゴミの残置や汚れが酷い場合は清掃費として5500円を頂戴いたします。
展示会・ワークショップ | 1day(平日) | 1day(土日祝) |
---|---|---|
55,000 yen | 66,000 yen |
・時間貸しも相談可(1時間あたり7,700〜8800円)
・事前相談の上、早朝7時~夜21時まで上記金額の20%増しで対応可能
・最低利用時間:3h
・ゴミは全てお持ち帰りください。
・ゴミの残置や汚れが酷い場合は清掃費として5500円を頂戴いたします。