運営は、ビンテージ家具の販売をメインに、ギャラリー運営、空間スタイリング・内装設計などを手掛ける、ATELIER GALLERY。 
世界中のヴィンテージ家具、建築、デザインを愛好し、その魅力を発信し続けている彼らが新たに手掛けるのが、日本の古き良き名建築の保全と活用を行う「Share Architecture」プロジェクトだ。
お話を伺ったのは、このプロジェクトの推進・運営メンバーであり、今回紹介する建物のオーナーでもある志摩さん。

今回ご紹介するのは、日本を代表する建築家、安藤忠雄の初期住宅作品。
場所は奈良県の生駒市。奈良県？と聞いてページを閉じようとした方、ちょっとまってください。

なかなかお目にかかれない、とてもスペシャルな空間なので、ぜひとも最後までお付き合いを。
では早速見ていきましょう。

壁に囲われた広い吹抜けを見下ろしながら外階段を登ると、その先に今回紹介する201号室が。
室内に入る前のこの空間も、高い塀に囲われ、視界に入るのはコンクリートのテクスチャーと空のみ。
もはやミニマル・アートと言っても過言ではありません。
ちなみにこちらの吹抜空間は建物１階の入居者の占有スペースです。（撮影利用不可・見学は応相談）

室内も、コンクリートと木フローリングのみで構成されたミニマルなワンルーム。
窓面は比較的少なめですが、逆に室内にエッジの効いた光が差し込み、光と影がいいバランスで共存しています。

ダイニングの窓先には、小ぶりな中庭も。
中庭、高いコンクリートの塀、そして切り取られた空。
塀と空しか見えない幻想的な空間。

天気の良い日は生駒山がダイニングの窓から見えるとのこと。
光の入り方も朝方の時間と夕方の西日の時間帯では全く違う印象になるため、
1日通して色々なシーン撮影もできそうです。

そして室内にはビンテージ家具がいいバランスでスタイリングされています。

イタリアの建築家ガエ・アウレンティ（Gae Aulenti）のダイニングテーブル、
デンマークのペリカンデザイン（Pelikan Design）のカフェチェア、
同じくデンマークのヘンリック・ペダーセン（Henrik Pedersen）のデイベッド、
ジャスパー・モリソン（Jasper Morrison）、アルヴァロ・シザ（Alvaro Siza）、
マーク・サドラー（Marc Sadler）によるデザインのフロアランプのみによるライティングと、
巨匠たちの家具作品がいい余白を保ちながら配置されています。

ビンテージ販売を手掛けてきた ATELIER GALLERYのセンスが光るスタイリング。

「この建築作品に関心のある方に使ってほしい」と志摩さん。

安藤さんの建築作品と相性がよい作家やアーティストの作品の撮影はもちろん、
インスタレーションや展示空間なんかにも良さそうです。
ダイニングテーブルがあるので、ワークショップや飲食を絡めたイベントも◎。

安藤忠雄の住宅作品に入れる機会はそうそうないので、建築愛好家の方にぜひ使ってほしいです。